2018年1月26日金曜日

歳をとるのはずるいよね

歳をとるっていうのは本当にいいことだ。そして、ずるいことだ。

僕は今カフェにいて、そのカフェは、前に働いていたところからほど近くにあるので、いろんな思い出がある。
勤務中に、さっと抜け出してきて、ここで本を読んだり、パソコンをぱたぱた叩いたり、ぽかぽかした陽が当たる路地の往来を見たり、とにかく好きなことをしていたこと。
韓国人の友達Sさんに、このカフェで韓国語を習っていたこと。
一緒に働いていたYくんも、やっぱりここに来ていたのだ、とこっそり知っていること。

そういったひとつひとつ、きちんと重みのある出来事たちが、自分は頑張らなくても、勝手に積み重なっていくのだから。

シエナ、というイタリアのとある町に僕は留学していたんだけど、その町は、留学しているときは、まさかこれからの生涯で何度も訪れるようになるとは思っていなかった。
もちろん可能性としては予感されていたわけだけど、それは食べたことのない果物の味を知らないことと同じで、実際の質感をこころの中に如実に現出させることが不可能な事柄だった。

26年生きる、というのはそういうことだし、僕は今、例えば56年生きることを、そういう、食べたことのない果物の味程度にしか想像することができていない。

僕はね、今、30歳を超えるのが楽しみでしょうがないんだ。

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