2021年11月23日火曜日

踏み切り板をとべ - 九州の旅(10)

 2021年11月19日(金)

早く起きて仕事をしようと思っていたのに9時起床。部屋が暗いせいもある。本当は今日がチェックアウトの予定だったが、二日間延泊することにする。

その相談をしたときに、ホステルのスタッフの人と色々と話をして、よかったらもう一人のバイクに乗るスタッフの人も誘って飲みにでも行きましょう、ということになった。

ホステルを出る。前日の話だが、夜に少し仕事をしようと思ってスターバックスに入ったら、思っていたより2時間早く閉まってしまったのですぐに出ることになった。

もう一度、とばかりに同じ場所に行く。駅ビルの5階にあるガラス張りの店内からは、駅前の様子がゆったりと見える。外は気持ちよく晴れていて、路面電車がとことこと走る様子や、人々が行き交う様子が見える。パソコンで仕事をするにはこういうところがいい。「ドリップ、ショート、ホット、マグで」と注文する。全国津々浦々、スターバックスに行ったらこの一言で済ます。今日はついでにスコーンも食べる。

翻訳の仕事をする。集中してささっと終わらせて、ぎりぎりのところで、五車堂というグリルの専門店に行く。たまたま調べたら一番近くにあった美味しそうなところがここだった。

ハンバーグカレーを注文する。ランチ1000円のセットで、サラダ、スープもついてきた。どれも全部美味しくて、メインのハンバーグカレーに至っては、熱々のげんこつハンバーグをスプーンで割ると肉汁が溢れ出して、それがほどよい温度のカレーと混ざり合って至福の味わい。ご飯のシマには、少し炙ったようなプチトマトとポテトが乗っていた。もう午後の2時でランチの営業は落ち着いており、客は僕一人だった。

本当に美味しくて、僕が生涯で食べてきたカレーの中で一番美味しいと本気で思った。それをそのまま、お店の人たちに言葉で伝えた。

※※※

橙書店へ。昨日も行ったが、今日も行く。わざと、museumに行く前に行く。そうしないといつまでも喋り続けてしまうからだ。まだ仕事はある。

カブを店の下に置いて、階段を上がって、ドアを開ける。

今日は久子さん、昨日とは違った表情で迎えてくれる。

チャイを頼む。たまたまカウンターにいたふじもとさん、という埼玉在住の方と話す。出身が熊本で、今は帰省中だそう。ぜひ横浜に来た時は生活綴方に寄ってください、と言っておく。

30分ほど話をしてから、数軒先にある早野ビルの中にある「坂口恭平Museum」に行く。彼が作り出したパステル画、アクリル画、陶芸作品が置いてある。

お店番の女性とも少しだけ話す。

上の階に上がって、今度は坂口恭平さんの奥さん、フーさんのお店に行く。手作りのアクセサリーを売っている。繊細な作りの、感じのいいシルバーアクセサリーだ。展示の仕方も、控えめでいい。

話し始めると、フーさんも横浜の出身だとわかって一気に話が広がる。育った場所も近い。やっぱり横浜の人フーさんと僕は、どこか話し方が同じで、旅で話してきた九州の人や、他の地方の人とはちがった親しみがあった。

同じように標準語で喋っていても、関東近辺の人が話すそれと九州の人が話すそれとでは、ほんの些細なことが、しかし決定的に違うのだ、と思った。イントネーションの違いももちろんあるのだが、何より相槌の打ち方や、話のテンポ、話題の振り方などが同じだ、と感じる。

僕が喋っているのは横浜方言だったんだ、と思う。

白川水源、蜂楽饅頭など熊本に10年住んだ人ならではのおすすめを教えてもらう。今回の熊本滞在で行けるところにはいろいろ行きたいが、次にとっておこう、という気もする。逆に少し残っているぐらいで、じっくりひとつひとつのことを、その時なりに楽しむのがいいのだろう。

お店を出たら、一応熊本城も見ておこうか、と思いそちらに回るも、午後4時半になっていて、タッチの差で入れなかった。中に入りたい、という感じでもなく、外からその存在感を感じられればよかった。きっと震災の影響でこうなっているのかな、と思うような箇所が確かにあった。以前の姿はわからないが、全く変わっているのだろう。

新町にある長崎次郎書店にも寄ってみる。中は普通の書店だが、建物は昔のままだ。2階の、古くて趣のある喫茶店に行きたいと思ったが、今回はやめておいた。また熊本にもっと長い時間滞在する時に来よう、と思う。

「珈琲アロー」というお店も生活綴り方の店長に薦められていたのだが、行ってみたらあいにく2日後まで休み。店内改装のため、という。滅多に休まないお店のようなので、残念。これも、次回。

一度駅の方にカブで戻り、無料の駐輪場に置いておく。シアトルズベストコーヒーという、関東ではほぼ見かけないチェーンに入る(Wikipediaで調べたら、運営母体がJR九州であるらしい)。レモンソーダのようなものを飲んで、コンセントでパソコンを充電しながら文字起こし。だが、最後の最後だけ残して、時間が押してきたのでパソコンをしまい、店を出る。駅前から路面電車に乗って、町の方へ出る。路面電車は、暗くて外がよく見えず、格段面白いということもなかった。バイクで走る方が、周りがよく見えて面白いし早い。でも、何も乗り物を持たずに来ている場合には、全く違った見え方をすることだろう。

バイクを持ってきてこの土地にいるということは、行こうと思ったところには大体行けるのだ、という可能性を持ってここにいる、ということである。

※※※

餃子の店で待ち合わせをしていたので、辛島町の電停からそこまで歩く。スタッフEさんはもうそこで待っていた。店は満杯だったが、10分ほど待って入ることができた。ビール、焼酎ハイボールなどを飲む。なかなか安くて美味しい。別に特別に熊本の食べ物、という感じもしないが、美味しいのでそれでいい。1時間ほど飲んで食べて、もう一人のスタッフHさんが来る時間になったので、外に出て待つ。

当初は、ケーキが出てくるバーに行く予定だったが、ケーキ完売、とのことで、少し探した挙句に、野菜の肉巻き専門店に行くことにした。22:30ごろに入って、23:30には閉店だ、ということだったが、みんなそれなりに疲れていたので、ちょうどよかった。楽しく飲んで、みんなでタクシーで帰る。1000円ほど。

明日も遅く起きるんだろうな、という予感がする。



0 件のコメント:

コメントを投稿