何事もコンポジッションである、と物知り博士はいう。
物知り博士は物知りであるから、およそすべてのことに関して多くのものごとを知っていて、今回もそういうすべてのものごとについての関連性を話してくれる。
「絵のキモはコンポジッション。何かを置いて、それがその与えられた空間の中でどういう働きをしているか、一旦ひいて見る。もしもっと仲間が必要だと思ったら、仲間を足してあげるのじゃ」
博士はちょっと無機質な打ちっぱなしの壁の部屋で、少し高めの椅子にお尻を半分だけ置いて、僕にこう言うのだ。
「生活のキモもコンポジッション。何かをまず置いてみて、それからここにこういう風なものがあったらいいかもしれない、ということを想像してみて、置いてみる。でもコンポジッションをやっている間にも時間は経っていて、そう、時間だってコンポジッションだから、それもちゃんと念頭におきながら、とにかく、自分がその空間と時間と要素の構成員であることを自覚して、どういうふうに置いてみたら気持ちいいか、それを考えるんだよ」
物知り博士は物知りでもあり、その物知りであることを、ものとものとの配置によって教えてくれるのである。
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