2022年7月26日火曜日

横浜に帰ってから思い出すのは

 今日の夜、岩手県の紫波町から横浜に帰る。三日間で、こちらの生活がずいぶん染み付いた。帰るのがちょっと寂しい。

 滞在中は、はんこ作家のあまのさくやさんに車でいっぱい案内をしていただいた。今月のはじめに縁あって知り合った彼女は、昨年の4月に東京から紫波町に移住してきた。情報発信をする地域おこし協力隊として元気に活動している。おかげで多くの場所に、人に会えた。

 地域の魅力とは、人である。カフェで抹茶を立ててくれたあいちゃんも、楽しそうにハードサイダーを入れてくれたきゅんさんも、今度は横浜に行きますと意気揚々と語ってくれたひやまさんも、ご飯を食べに入った食堂で、犬の散歩に誘ってくれた店主のけんじさんも、僕のことを面白がってけんじさんに紹介してくれたキミーさんも、昭和の香りがするカフェ・エーデルワイスでひとりコーヒーを飲んだ僕を、姿が見えなくなるまで見送ってくれた店主の方も、家族ぐるみで僕をもてなしてくれた畑の主なっちゃんも、紫波町を気に入ったことを一緒に喜んでくれた図書館の司書の吉田さんも、コミュニティ農園でサバサバと草を刈りながらカッコよく僕をもてなしてくれたまどかさんも、一緒にいてあたたかさを感じたひとりひとりの面影が、その地域にまた行きたいと思わせてくれる。

 紫波町は、駅の周辺地域は再開発されていて綺麗で、現代的な施設もたくさんあり、利便性が高い。しかし、車で5分も走れば、そこには田畑が広がる地域である。

 横浜とは暮らしが違う。家の横を、電車が通らない。夜はほとんど音がしない。空を見上げると雲や星が広く視界を彩る。遠くに見える山々が少し霞んで、夕刻を告げる。ひぐらしやカエルが鳴き、たぬきが歩く。青々と繁った稲が、そよ風に揺れている。

 横浜に帰ってから思い出すのは、こんな景色と、そして、出会った人たちのことだろう。



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